消費電力の目安

 ラックマウントサーバーの運用で気になるのが消費電力。PowerEdge 1950の電源ユニットは670Wとなっており、最大で6.7A(670W÷100V)の設計になっていることがわかります。電源に余裕があれば6.7Aと計算しておけばOKということですが、通常は定格で見積もることはなく、台数が多くなってくると、ぎりぎりでの運用になりがちです。そこで目安となる一般の運用時のMAXと想定できる条件でクランプメーターを使って測定してみました。

測定機の構成

  • PowerEdge 1950
    • クアッドコアXeon×2(X5355/2.66GHz、フロントサイドバス1333MHz、2X4MB L2キャッシュ)
    • 2.5インチSASハードディスク、75GB、15000回転×2~4
    • メモリ2GB(1GB×2)、8GB(2GB×4)、16GB(2GB×8)
  • DRAC 5
  • PERC 5/i

 よく使われるオプションのDRAC 5とPERC5/iを搭載した状態で、メモリ構成、負荷を変えて測定します。これらのオプションはそれなりの電源を消費するので、これらを装着していない場合は少し消費電力が下がります。

測定結果

 起動時、OS起動後に標準のデーモンなど以外はとくに何もしていないとき(定常時)、負荷をかけたときを測定しています。

電源OFF時(DRAC待機)0.16A
状態メモリ2Gメモリ8Gメモリ16G
起動時-3.01A-3.53A-4.01A
定常時2.26-2.28A2.67-2.69A3.06-3.07A
ホットスペアなし-2.50A2.90A
stress -c 22.64-2.67A3.03-3.04A3.48-3.50A
stress -c 42.94-2.96A3.39-3.40A3.73-3.76A
stress -c 63.16-3.17A3.63-3.64A4.03-4.04A
stress -c 83.53-3.54A3.90-3.91A4.29-4.31A
stress -c 8 -d 23.52-3.53A3.89-3.93A4.31-4.36A
stress -c 8 -m 83.32-3.44A3.89-3.91A4.43-4.48A
stress -c 6 -i 4 -m 2 -d 13.48-3.54A4.01-4.03A4.49-4.52A
  • メモリ2GB(1GB×2):HDD×2(ホットスペアなし)
  • メモリ8GB(2GB×4):HDD×4(ホットスペア2台)
  • メモリ16GB(2GB×8):HDD×4(ホットスペア2台)

 クアッドコア×2の構成なので、「-c 8」でCPU(ユーザー)100%の負荷、「-c 4」で50%の負荷になります。「-d」オプションを付けた場合(ディスクに負荷をかけた場合)、若干CPU(ユーザー)負荷が落ち、「-c 8 -d 2」のオプションで97~99%のCPU負荷になっています。  起動時は、各機器のイニシャライズなどによって消費電力が大きく変わり、MAXの値を記載しています。

電源を冗長化した場合

 電源ユニットを2台装備し、両方に給電した場合、両方の電源ユニットが使われ、1つの電源ユニットに流れる電流は約半分になります。ここではクランプメーター1台で測定する都合上、片側のみに電源を接続し、測定しました。

外気温の関係

 消費電力は外気温に影響を受け、温度が高い場合、消費電力は上がります。測定時の筐体外室温は27℃でした。一般のホスティングサービスでは27℃より低い涼しいくらいの温度に空調されるのが通常なので、実際の運用ではここでの測定より少し低い値になるでしょう。

負荷測定のためのツール

 OSはCentOS 5.0を使い、CPUやメモリ、ハードディスクに負荷をかけるのには、UNIX(POSIX)系OSで簡単に使えるツールのstressを利用しました。stressは、Debian GNU/LinuxやBSD系OSではパッケージとして提供されていますが、CentOSでは提供されていないため、ソースからコンパイルして利用しています。

stressの導入方法

 http://weather.ou.edu/~apw/projects/stress/からソースコードが入手できます。stress-1.0.0.tar.gzをダウンロードしたら、任意の場所で展開し、コンパイルしてインストールするだけです。

# tar zxvf stress-1.0.0.tar.gz
# cd stress-1.0.0
# ./configure
# make
# make install
 stressはオプションで負荷プロセス数を指定するようになっており、たとえば、ユーザープロセスでのCPU負荷は「-c 8」、ディスクの負荷は「-d 2」のようにして指定します