ウィンドウはアプリケーションが扱える表示領域です。

ウィンドウの大きさは環境によって大きく異なります。これはラスタベースのペイントソフトでは問題になりますが、ClearLightはベクタベースなので、差を吸収できるような方法を採ることができます。

まず、イラストの解像度はほとんど気にする必要がありません。アンチエイリアスやグラデーションの具合は、最終出力で調整できるので、作成中はこだわっても意味がありません。点や線の位置はウィンドウが大きい方が細かく指定出来ますが、その場合はむしろポインティングデバイスの精度に依存することになります。等倍で絵を描いているとき、ウィンドウ上の1ドットの違いは修整しにくいと思います。細かい部分は拡大して修整することになるので、大した問題になりません。

ウィンドウの大きさの影響を大きく受けるのはツールアイコンです。解像度の高いディスプレイを使うのは、ツールを細かく表示できるから、というのが一つの理由であると思います。そうした需要があるならば、ツールアイコンの大きさは可変的であった方がよいでしょう。つまり、ツールアイコンもベクタベースで処理します。アイコンは小さくしておいて、選択するときに大きく表示するのが基本です。色環など、ある程度大きさが必要なものも、使うときだけ大きくすれば邪魔にはなりません。

アイコンの大きさが変わる場合、その選択方法が問題になります。ブラウザ上のリンクで位置が変わるものがありますが、選択が外れるように位置が変わるものでは、ガタガタ振動してしまいます。よく使うツールがこうなっては困ります。大きさが変わっても選択が外れないようにするには、同心円上に拡大されればよいでしょう。これは選択範囲の問題なので、実際の表示では、選択範囲が扇状に展開され、その上にアイコンが描かれる形になると思います。ツールを展開するときも扇状に展開します。そうすれば後の方も同じ距離の移動で済むため、選択が容易になります。

ツールを選択するときと、そうでないときを区別する必要があります。線を描いていて、たまたまツールの近くに来てしまったときにツールが変わってしまっては不便です。これに対処するために、ツールはドラッグで選択することにします。ツールはリング状に配置して、その中心でタブレットを下ろしたときにツールが拡大されるようにします。そして、ツールの階層を辿っていき、目当てのツールの上でタブレットを離して選択します。キャンセルしたいときはツールアイコンのない位置まで移動して離します。

色を選択する場合、パレットのように幅があるものなら良いですが、色環のように、ずれると選択が変わってしまう場合、離したときに選択では困ります。かといって、触ったときに選択でも選択ずれの危険はあります。このようなものを選択する場合、溜めで選択するようにします。ポインタが動いている間は選択を決定せず、しばらく止まっていたら選択とします。止まらない場合はキャンセルします。すぐに決定したいときはキーボードを併用します。

リング状にするアイデアは、ツールだけでなく、キャンバスにも適用できます。イラストを編集する際に、ツールやキャンバスはいくつかのリングに縮退しているので、ほとんど邪魔になりません。キャンバスをリング状にするときは、数が問題になります。キャンバスを絵の部品ごとに分けた場合、何十、何百という数になります。これを単純にリングにすると、重なって選択できないようになってしまいます。数が多いときの表示方法を考えなくてはいけません。

通常のツリーでは、項目が多い場合にはスクロールバーを用います。リング状のツリーでも、同様の機能を考えます。スクロールは、1項目ごと、1ページごと、それに自由位置までの移動が出来るべきです。リングツリーの選択では、その操作をタブレットを降ろしたまま行う必要があります。選択の内周や外周に移動することは階層の移動を表すので、これも操作には使えません。そこで、次のような操作をします。

  • 項目の端をこする。 → 1項目ごと
  • 項目の上で円を描く。 → 1ページごと
  • 項目の端から外に出して、外周で移動させる。 → 自由移動

項目に切れ目があれば、それを利用してのスクロールが可能です。また、ポインタを大きく移動させなくても、ジェスチャーの要領でスクロールも出来ます。マウスを使う場合はホイールが使えるので、ジェスチャーをする必要はありません。もちろん、キーボードの併用も考えられます。