日本語の詳細読み辞書を複数用例に拡張する
台湾チームから最近いただいたご指摘についてコメントしておきます。
例えば中国語ロケールと日本語ロケールのそれぞれで「日」のエントリは以下のようになっています。
source/locale/zh/characterDescriptions.dic 行番号 3505 日 日子 日期 日記 日曆 日出 日本 日前 每日 今日 註冊日期 主日學 source/locale/ja/characterDescriptions.dic 行番号2861 日 ニチヨービノ ニチ
台湾チームからのご指摘は以下のとおりです:
カタカナの発音表記では「母国語が中国語であり、日本語の文字を確認したり選択したりしたいユーザー」に使いにくい、というご指摘です。
NVDA が日本語で動いていて、日本語エンジンが選択されているときに、日本語の文字説明を中国語の音声で行うか、というニーズなのかどうか、引き続き話し合いたいと思います。
ユーザーが Windows や NVDA の言語設定をどのように設定していることを想定するのか、という問題も関わってきそうです。
Windows や IME の選択にかかわらず NVDA の言語設定で詳細読み辞書の言語を切り替えていると思うのですが。。
(ただし、NVDA のデフォルトでは Windows の言語環境がそのまま NVDA の言語として選択されるはずです)
NVDA を中国語の設定で動いているときに、日本語入力については日本語拡張が有効になるようにする、という解決策もありそうです。
このチケットでの議論を一般化すると、「ユーザーインタフェースの言語」と「コンテンツの言語」を独立させる実装への要求、と言えそうです。
NVDAの日本語化は、最初、ユーザーインタフェースの言語設定を無視して日本語対応の処理を組み込んできました。
少しずつ手直しして、現在はコンテンツの言語に依存する処理と、言語非依存の処理を区別しています。 そして「ユーザーインタフェースが日本語の場合に、日本語コンテンツ特有の処理を行なう」ようにしています。
だから中国語でも詳細読みモードのような言語非依存の拡張が動いています。
さらに「ユーザーインタフェースが中国語、コンテンツが日本語」のときに、日本語コンテンツ特有の処理を中国語スタイルのインタフェースで提供できるでしょうか。
考えてみると、音声出力については JTalk2 の「言語の自動切換え」がこれに当たることをやっています。つまりユーザーインターフェースが日本語でも、Webページのコンテンツに言語が英語だと指定されていれば、英語のエンジンに自動切換えして読むことができます。
このチケットで検討してきたこととずれるのですが、チケット25509(Unicode文字の読み上げ)で検討する「文字説明データの整理」のために、characterDesriptions.dic を日本語独自拡張することも、ひとつの可能性です。
台湾チームから「日本語の詳細読み辞書を複数用例に拡張してほしい」という要望がありました。
背景として、日本語の学習に使うために、用例がひとつだけでは分かりにくい、とのことです。
チケット 28859 にて記載したとおり、中国語の詳細読みはタブ区切りで複数の用例が登録されており、どうやら「現在の単語のレビュー」コマンドを「短い詳細読み(説明が1種類だけ)」として、「現在の文字のレビュー」コマンドを「長い詳細読み(説明を複数並べて提示する)」として使っているようです。
複数用例を導入すると、やはり単独用例と複数用例の使い分けをする必要があります。操作方法を中国語にあわせるかどうかがひとつの検討課題です。
複数用例に拡張するための辞書データをどのように整備すればいいのか、という課題もあります。
中国語に合わせるなら nvda-dev-asia では問題なく受け入れられると思いますが、日本のユーザーにとって使いやすくなるかどうかも議論が必要です。