長南です。 基本的に、後を引き継ぐ人は、前の訳を自由に改変してよいと思っています。 そうでなければ、やりにくいし、よりよいものにならないでしょう。 より悪くなっては困りますけれど。 なお、現在、体調がよくないので (まあ、年齢のせいなんでしょうが)、当分活動を休みます。 この件についても、これが最後です。 以下引用は、reviewForOldTrans.txt.gz から。 > po ファイル内の日本語訳文の行末に "\n" を挿入している箇所が散見される。 これは、emacs の po モードの仕様です。emacs を使うと、こうなります。 > これはもはや解説本である。man ページとしては不適切。 > man ページはざっとした内容確認や、場合によってはオプション引数が何で > あったかをさらっと確認するような利用が基本。つまり製作者側からしても、 > これを読ませてすべてを理解させるような意図はない。info を読めという > ケースも多々あり。したがって本記述はやりすぎ(オーバースペック)。 > 文章も極端に長すぎて、もはや訳注ではない。 これは、manpage に対する見解の相違です。manpage は、自然発生的な ところがありますから、作者次第でいろんなタイプのものがあります。 coreutils の manpage などは、--help の出力を manpage のスタイルに したもので、ほとんど備忘録ですが、仕様書、詳しいリフェレンスブック といったものもありますし (POSIX の manpage は、事実上仕様書なんじゃ ありませんか)、取説、使用説明書と言えそうなものもあります。この xarg.1 などは、かなり詳しい使用説明書だと思います。 manpage を読む方から見たらどうでしょう。たいていの場合、使い方の 分からないコマンドについて、使い方を知るために読むのではないでしょうか。 市販のコマンド解説書より、もう少し詳しく正確な説明を求めて。 私としては、manpage を基本的にそういうものだと考えていますから、 使い方をまだ良く知らない人が、読んだだけで大体分かるように 書いてあるべきだと思っています。すでに分かっている人なら分かるように ではなく。 私がくどくなるのを承知で、訳注を付けるのはそのためです。 この xargs の -I オプションについて言うと、「何を言っているのか わからない」という批判を何回か聞きました。確かに、原文を読んでも 分かりにくいところで、これは原文が説明不足でしょう。こういうのは、 例を上げて説明しなければ、分かるわけがありません (あるいは、実際に 動かしてみなければ)。それで、ここまで説明すれば分かってもらえるだろうと、 長い長い訳注を付けたわけです。言わば、毒くわば皿までで。 ついでに言うと、欧米の人は、解説を演繹的と言うか、体系的にするのが 好きなようです。それに対して、日本人は、具体的な例から始めるのが 好きらしい (イラストを付けるのも好き)。私としては、manpage に 例が少ないことを残念に思っています。ここに実例があれば、もっと 分かりやすくなるのに、と。そこで、ここでも例を付けたのですが、 例を付けると、どうしても長くなります。バランスがくずれるほどに。 > 引き数: 間にひらがなの「き」を含める表記に違和感。 これは、「翻訳の指針」の「セクション名について」に書いてある表記です。 「インスウ」と読ませないためではないかと思っています。 > 中黒の利用の不統一性: 基本的に日本語として熟しているもの、別の言い方をすれば、英語を直感的に 連想できるものには、中黒を使いません。中黒で区切らないと、英語を連想 しにくいと思うものは、中黒で区切っています。感覚的な判断ですから、 自分とは感覚が違うというものもあると思います。 -- 長南洋一