KANOU Hiroki
kanou****@khdd*****
2005年 5月 8日 (日) 23:36:50 JST
狩野です。 今のところ考えている当面の作業目標についてお知らせします。 (1) さざなみフォントの次のリリースは 6 月を予定しています。 とくにいつ出すべきという必然性はないのですが、最初のバージョンを 一昨年の 6 月、現行のバージョンを昨年 6 月にリリースしていますので、 また 6 月に出すというのは目標として手頃ではないかという理由です。 ビルド環境を整えるのとテストするのにそれなりに時間がかかりますので、 6 月はほぼデータ整備に充て、完成次第公表する予定です。逆に言えば、 5 月中は、CLWFK+FF や、アルゴリズムの改良などの基礎的な部分に力を 入れたいと考えています。 スケルトン編集の道具立てが整ったので、今後は定期的に改良の成果を 公開していく予定です。年に 3 回程度のペースを考えています。 (2) 6 月のリリースでは、100 文字修正することを目標にします。 アルゴリズムの微調整による全体的な字形の品質向上のほかに、頻度の高い 文字に関しては、文字定義を FF+CLWFK のプリミティブエディタで調整して しまおうと考えています。本筋であるアルゴリズムの改良ができる前に、 とりあえずましな出力を得ることができますし、アルゴリズムの試行錯誤を 行う上で、それらの結果に合うようにチューンすることができます。 伊藤さんが作られている「ほげほげゴシック」のデータをそのまま取り込むか どうかは未定です。既に修正したアウトラインがあるなら、それにスケルトン を重ねてデータを起こしたほうがいいかもしれません。 (3) アルゴリズムの改良は、当面はゴシックのみを対象にします。 簡単に言えば、少しの手間で大きな効果が得られそうだからです。 http://khdd.net/kanou/kangae/2005/May.html#8 でも書きましたが、 スケルトン全体が明朝向けに最適化されているので、ゴシック向けに 修正することによってバランスが向上する余地があります。また、 肉付けの方法が単純ですので、追加のパラメータを導入して微調整して やるだけで劇的に安定感がよくなります。 また、太さの設定も見直したいと思います。ストローク幅を可変に できる機構を導入しましたので、全体に太くして、東風ゴシックと 同程度にする予定です。そのためには、画数の多い文字では、1 本 1 本の ストロークを細くしてやるアルゴリズムを実装する必要があります。 できれば rm_geta も修正したいです。 組合せエディタを 5 月中に作れるといいのですが、一応それが できないことを前提として話を進めます。 (4) CLWFK の長期的な改良目標も立てていますが、実際に手をつけるのは 7 月以降です。 自分一人の頭の中に置いておくともったいないので、取り留めもない箇条書き ですが、主なアイディアを書き出してみます。 ・スケルトンの共有は、もしできるのであればやったほうが望ましい。 明朝用→ゴシック用の調整時には、修正方法にある程度規則性があるので そこを機械的に変換できるかもしれない (例えば、右払いの中間点は明朝では 末端寄りになっているが、ゴシックでは中央近くに移したほうがいいとか) ・明朝は、幾何的アルゴリズムでは美しい線を得ることが難しいので、 エディタで肉付けの例を編集して、それをサンプリングして補間する ようにしたい。(実現するには課題が多いが) ・細かい点としては、「石」などの「ノ」と「口」の交点で、左払いの上に 線が突き出ないようにするなどを実装したい。 ・バランスアルゴリズムは改良の余地があるはず。 ・ストロークだけでなく、プリミティブの変形も一様なアフィン変換だけでは なく、もっと柔軟性がほしい。現在、「ののじ木」と「禾」を部品名を変えて 定義しているのを 1 個のままで自動的に切替えたり、それらを補間したり。 一般に、1 個の部品の中で、変形しやすい部分としにくい部分があるのでは あるのではないか。例えば「寸」は横に並ぶといつも幅が大きく評価され がちであるが、縦長に使われている時には、横棒の両端部分が余って見える。 つまり、それらの部分は中間部よりも『柔らかい』のではないか。 (4) はともかく、6 月までの目標の中で盛り込むべき項目がありましたら 今のうちにご意見をお寄せいただければと思います。 狩野 宏樹 <kanou****@khdd*****>